Puppeteer

人形師――ようこそ。

Name Puppeteer 人形師



人形及び人工肢(義手義足)や、義眼を専門としたお店、

『パペッティア』をラヴィンに構えている。
店主は物腰柔らかな長髪の男性。顔をヴェールで覆い隠しており、
覗き込んだとて「仮面を装着している」ということしかわからない。素顔も素性も不明。
〝事故〟で両腕を失っているとのことで、
衣服から覗く人形のような義手が代わりを果たしている。

「お金は要らない。けれど、欲しいのは――」

その対価が少々特殊であると噂され、その名が知れ渡りつつある。

 


◆セリフ(男性)

「いらっしゃいませ」

「なにをお求めでしょう」
「おすすめは……全部です」

◆セリフ(女性)

私が〝何か〟……気づいているのね

……お願い、見逃して
奪われるのは、もう……



欲するもの――

それは、〝寿命〟。


寿命の受け渡しの際にのみ(店主の男性曰く〝使用人〟の)女性が姿を現す。

女性も人形なのだろうか――――否、彼女こそが店主であり人形師その人である。

客は男性が店主かつ人間なのだと信じ込んでおり、
そもそも彼が人形だということにも気づいていない。

普段、表は人形に任せきっており、人形師本体は裏(地下)で作業をしている。

女性の方
もう、私から奪わないで」
「これからは、私が〝奪う側〟」
「……これ以上――奪わせない」

名前:リクィス
年齢:外見10代後半程
性別:♀に見える
身長:163cm
種族:悪魔
属性:不明
所属:ラヴィン(地下)
出身地:ヴァルアドナキア
一人称:私
二人称:貴方、◯◯様(目上) / お前(人形等)


死霊術師の人形師。
正体は蚕の悪魔(魔族)であり、本来の姿は魔蚕。
他生命から寿命を分け与えてもらわなければ、
5年も保たずに朽ち果てる運命の儚い種族。

彼らは生まれると、大人になれることを夢見――
本能的に未来の大人の自分のために自ら糸を紡ぎ、衣装を拵える。
魔力で編まれた衣は丈夫で、どんなに鋭く凶悪な刃物であっても通さない。
(ただし、それ以外の……衝撃や炎、冷気などには弱い。)

彼女は生物から生命力寿命を奪って延命し続け、(定命の者にとって御伽噺と同義とも言える程に)気の遠くなるような昔から現代まで生き続けている。
機能停止した魔導人形を修復し再起動させるため、現存しているであろう部品を探し、収集する日々の中……人形師として技術を磨き、教え、継承しつつ――心の何処かでは、この現状を変えてくれる者が現れないだろうかと待っている。


【Backbone】
私は人形を作る。
子供用の玩具、展示用マネキンにアンティーク。
最近では失った四肢の代わりを求める者が多い。

「お代は要りません。その代わり――寿命を、いただきます」

私は永遠を生きる。
あの人に会えるその時まで。

時に霊魂を人形に降ろし、取引を持ち掛ける。
霊魂――ボイドは依代がなければ、彷徨った挙句、界獣に吸収されて討伐。
そして消滅させられる。そんな運命より私のもとへ来ないか、と。
霊魂は自由に動ける器を手に入れる――代わりに、私の雑用係や使用人として客寄せや宣伝、情報収集をしてもらったり……戦力となって働いてもらうのだ。




人形に魂は在るのか。
人形の精神はどこに宿る。

愛したあの人はもうこの世にはいない。
愛したあの人の物言わぬ身体はずっとそこに。
愛したあの人の身体に触れていいのは、自分だけ。











男性の方
生前名前リエト
年齢:外見20代後半程

性別:♂に見える
身長:180cm
種族:(自称)人間
属性:不明
所属:ラヴィン
出身地:不明
一人称:僕
二人称:貴方 / ~様


人形師自らが見様見真似で作った愛人……を模した人形で、偽者。
材質も細部も全く違って全くの別物で別人である。
(オーパーツであるため完全な再現は不可能。)
例え――神であっても、同じモノはつくれないだろう。


【Backbone】
『僕の姿は変わらないけれど』

有機生命ではない彼のその身は、
何年、何百年経った今でも腐ることも朽ちることもなく綺麗なままだ。
眠っているみたいに美しいのに、目覚めることは無い。
その白磁の瞼が開いて、私を見ることは無い。
その玻璃の瞳に、私が映ることは無い。

どうして――こうなったのだったか。



『生命がやがて老いて死んでゆくように』

気の遠くなるような遠い……とおい、むかしのこと。
何処の馬の骨とも知らぬ図体の大きいだけの蜥蜴が現れた、あの日。
私はただの非力な子供で、彼は私の使用人だった。
優しい、ひと、だった。

飛び散る何かの肉片、崩れ落ちる建造物、降り注ぐ瓦礫。
何が起きたのか。幼い私には瞬時に理解できない。
(――ああ)
脳が警鐘を鳴らすのに足が竦む。腰が抜ける。
人は、立て続けに理解のできない現象が起こるとまともに動けない。
しかし頭だけは酷く冴えていて、どこまでも冷静だった。
(これで、おわり)
私は固く――固く、目を閉じた。



気付いた時には全てが静まり返っていて、私の目の前には、瓦礫の下敷きとなりうつ伏せの――物言わぬ彼が倒れていた。
彼は人ではない。だからこそ、救うにはどうすべきか。
――〝最善〟の策を実行に移せたのだろう。

『僕もいつかは壊れるだろう。その時がきたら……』

〝うつ伏せ〟。
彼のコアは粉々に砕けていた。
これが、一体何を意味するのか。
そんなのは……幼い私でも、わかる。

『君の手で、廃棄して欲しい。いいかな?』



私は……
寿命を奪って延命をしてまで。
彼を、再起動――よみがえらせるために生きてきた。
彼にもう一度会うために。彼に、もう一度――、

いいとも――なんて。
元気よく答えられるわけが、なかったのだ。


ーーー
愛した人を模した人形に霊魂を降ろし、
愛した人のように振る舞わせ、側近として置きつつ、戦闘などの荒事を任せている。
人形師は彼を溺愛しているようには見えるが、中の霊魂を褒めているだけ。
だからこそ情はなく、似ているだけの別物でしかないという感覚。

「〝これ〟が私の愛しい人……だと? その口を縫い付けてやろうか。
 ……二度と、言うな」

---


人形師の店の何処かに、一体のとある〝人形〟が保管されている。
〝彼〟は人形だが人形ではない。少なくとも、人形師の作る人形とは明確に違った。
〝彼〟に使われている部品はどれも、形状や作製方法不明。材質もまるで未知の物質であったのだ。

人形師の作る人形は抱えられる程に軽い。それは中に何も入っていないから。
だが、〝彼〟の中は大中小と様々な……緻密で精巧な部品を合わせて組み上げられた、
部品で埋め尽くされている。ので、とても……おも――重量がある。
〝彼〟は「魔導人形マキナ」と呼ばれるものらしい。

ロストテクノロジー――既に失われし古代の技術。
神の手によって生み出されし――魔導人形マキナ

それはかつて『兵器』、であった……とか。
〝彼〟を作った神に感謝はすれど、神は兵器を作ってどうするつもりであったのだろう。まさかあの蜥蜴に対抗するためだった――と、でも……いうのだろうか。知る由もない。が、
しかし。
私の知る限り〝彼〟は兵器などではない。

いつも私の傍に居てくれた。優しく接してくれた。この想いをくれた。
〝彼〟は決してそのような物騒な存在ではない。



魔導人形マキナ」は部品が破壊されたとしても修復すれば、代替部品へ取り替えれば、それが例え主要機器コアであっても再び動かせる。再起動する、はずなのだ。

現代の部品で、彼を再起動させてみせる。
――けれど。もし、それが不可能であるのなら。
〝彼〟のように恐らく世界の何処かで現存しているであろう、
魔導人形マキナ」を捜し出して、部品を奪ってでも――。

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〝彼〟を失ったショックでとても長い間、眠っていたらしい。
覚醒めたら時代が移り変わっていた。そんなことある?


悲しきことにラヴィンは人間至上主義の国であった。
人間ではない存在と、そもそも生命ですらないもの。
それはこの国では拒絶され、排除される。


人形師リクィスは人間ではない。
表に出ればどうなるだろう? わかりきったことだ。

下手に動いてこの居場所を手放すわけには行かない。
この国内において自由に動くための手足が必要だ。
そのためには
人間と見間違える程に精巧な――人間のガワを用意する必要があった。

第一に〝彼〟を模した〝店主〟。
第二に〝妹〟を模した〝剪定〟。
第三に〝姉〟を模した〝侍衛〟。

人形を作るようになった発端は、自分の居場所を守るため。
必要に迫られたからで、元々そういった商売をするためではなかった。


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リクィスの作る人形は魔導人形を目指して製作されたものである。が、
それらは魔導人形に至れなかった。

頭部に記憶媒体は搭載されていない。
その中身を満たすものは空気であり虚。
しかし、自らの意志で動くことができる。

人形師が操らずとも動く人形――なぜなら、その身にはボイドが宿っているから。

(基本的には人形師が操作して戦う方が殺傷力は高いが。)

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